小林亨です。
唐突ですが、縄文人の服って「コーヒーの麻袋に穴開けたようなもの」っていう認識が一般的ですよね。
いろいろな書籍や、博物館の再現像を見ても、生成りの繊維を編んだだけの服を着ているケースが多いようです。
しかし、実際はどうだったのでしょう?
遺物が残っていない以上は想像するしかないのですが、土器や土偶などを見るに、あれだけ装飾好きな縄文人がズダ袋のような簡素な服を着ていたのでしょうか。
少なくとも「染め」くらいはやっていたんじゃないかと思うんですよね。
縄文でお馴染みの顔料といえば「ベンガラ」
酸化鉄由来の赤い顔料です。
土器や土偶、漆製品などにも使われ、各地に遺物も残っています。
今回はそのベンガラを使った、染物体験へ行ってみることにしました。
古色の美
鎌倉へやってきました。
古民家にスペースを構える「アトリエゑん」さん主催による「ベンガラ染めワークショップ」に参加します。
講師は株式会社ナカジマ「古色の美」の小渕ユタカさんです。
流暢な関西弁で話す小渕さん、いまの職場は大阪ですが、実は群馬県中之条町のご出身。
ベンガラという名前の由来は、江戸時代にインドのベンガル地方の顔料を輸入していたことが語源だそう。となると、江戸時代以前は何と呼ばれてたんだ・・・?
話の中でベンガラの原点に触れていくうちに見覚えのある本が登場しました。
別冊太陽の縄文の力です。
なにやら急に縄文じみてきましたね!
そして、今回使うベンガラは中之条町の山から採掘してきたものとのこと。
中之条町のお隣は、ハート形土偶が発掘された東吾妻町。
縄文人も同じ山からベンガラを採取していたかもしれません。
正直、縄文要素は全く期待していなかったのですが、これは嫌が応でも気持ちが高まります。
実際やってみる
木型染め、という技法で手ぬぐいを染めていきます。
蛇腹状に折った手ぬぐいに木の型で挟むことで、型の部分は白く残り、それ以外の部分が染まるわけです。
色々ある型の中から十字手裏剣っぽいやつを選びました。
完成予想図です。出来上がったら上の写真のような柄になるはず。
群馬のベンガラとご対面
赤はベンガラ、黄色は同じ山から採取された黄土です。こいつらでさっき仕込んだ手ぬぐいを染めていきます。
余白部分をハケなどでペタペタと。いい感じじゃないの。
せっかくなので、黄色も使います。
完成・・・!
できたー!
木枠を外して、干します。
なんか、完成予想と全然違うけど、まあこれはこれでいい感じじゃないの。
他の参加者の方々の作品。全部かわいい。
わたしは赤と黄しか使わなかったけど、他に青もありました。
まとめ
わたし考古学者じゃないので、断言しちゃいますけど、縄文人、染め、やってたね。
手近に顔料があるんだからやってない訳ないもの。
布に顔料を定着させるには、染料にタンパク質を混ぜる必要があるそうですが、今回の染めには大豆の絞り汁が使われました。
縄文時代には既に大豆の原種が栽培されていたことが分かってきていますし、材料は揃っている訳です。
そのうちに縄文人の染めものについても、証拠が出てくるかもしれませんね。
(既にでてきてたらスイマセン!!)
今回の染めに使われたベンガラ染めの材料は「古色の美」のWEBサイトで購入可能です。
ワークショップのお知らせもサイトやFBページで発信しているので、気になる方はチェックしてみてください。
http://www.kosyokunobi.com
ちなみに、小渕先生はめちゃめちゃ縄文好きの方でした。
また是非お会いしましょう!
[amazonjs asin=”4787717022″ locale=”JP” title=”さらにわかった! 縄文人の植物利用 (歴博フォーラム)”]