現代の狩猟採取 | 縄文ドキドキ会 https://jomondoki.com 縄文ドキドキ会は、ファン目線で土偶や土器をはじめとした縄文時代の魅力を発信するための愛好者団体です。 Thu, 28 Jun 2018 16:25:02 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.10 https://jomondoki.com/wp-content/uploads/2020/02/jomondokidokiFavicon-150x150.png 現代の狩猟採取 | 縄文ドキドキ会 https://jomondoki.com 32 32 現代の狩猟採取/猟師工房が提案する狩猟ビジネス学校 https://jomondoki.com/2018/05/15/5445/ Tue, 15 May 2018 10:35:08 +0000 http://jomondoki.com/?p=5445 近年、全国で鹿や猪の獣害が増えているにも関わらず、狩猟の担い手が高齢化しているために被害は広がり続けている。
埼玉県飯能市の猟師工房(株式会社プロット 代表:原田祐介さん)は獣害の問題を人が引き起こした環境問題だと語る。

「明治時代に人の手でオオカミを絶滅させてしまったために、鹿や猪は天敵がいなくなってしまいました。彼らには罪は無いのですが、結果として農作物や山林を荒らしてしまっています。山を荒れ放題にすれば、彼らも生きる場所が無くなります。これは人が引き起こした環境問題であり、人の手で解決すべき問題だと考えています」

狩猟のテクニックを学び、狩猟をビジネスとして成立させることで、環境問題に取り組もう、という猟師工房の試みを取材した。

千葉県君津市へ

学校の開催地は千葉県君津市。動物園から脱走したマメジカ「キョン」が繁殖し、農作物に被害が及んでいる。企画の参加者は約50名、年齢や性別、住まいの地域もさまざまだ。

早速、実際に捕獲で使う罠を見せてもらった。

くくり罠
ワイヤーを使った”くくり罠”。イノシシは突進力で4mmのワイヤーを引きちぎるという。

箱罠

こちらは箱罠。餌を中に入れて、入って来たところを捕える。

人間の都合で狩らねばならぬとはいえ、相手も生命がかかっている。人間側が生命を落とす危険性もあるのだ。

鹿を解体

罠について簡単に学んだところで、実践に移る。捕らえたシカを解体し、食肉として加工する技術を学んでいく。

食肉として販売する場合は衛生許可が下りた解体場で処理しなくてはならないため、今回解体した肉はペット用として利用するとのこと。

内臓は抜かれているものの、まだ生きていたことを感じさせるシカが台に乗せられる。10人ほどのチームにわかれて交代で専用のナイフを使い、スタッフの指導のもとで革を剥がしていく。初めて解体を経験する人がほとんどで、手つきはおぼつかないものの、みな目つきは真剣そのものだ。革を剥いだら、関節を外し、肉をブロックに切り分ける。

さっきまで「生き物」だったものが「肉」に変わっていく体験は、自分の生命が多くの犠牲のもとで維持されていることを強く思い出させてくれる。

解体した肉

狩猟ビジネス講義

後半は原田さんによる講義。狩猟業界の古い体質ゆえの若手の参入の難しさ、行政の行っているやり方の欠点、害獣として駆除された獣の9割以上が廃棄されている現状があること、捕獲された獣の100%利活用を目指して活動していることなどを語った。

ビジネスとして狩猟を考えた場合、基本の収入源は食肉の販売となる。しかし、食肉利用を前提として狩猟を行う場合は罠猟が主体になってくるため、週末だけ副業として狩猟をやりたいと考えている人には参入が難しい。罠猟は毎日の細めなチェックを怠ることができないからだ。

それ以外に解体所の確保の問題もある。

質問タイムにはさまざまな意見が交わされ、原田さんも思わず熱くなる場面があった。

講演する原田さん

未解決の問題は山積みなものの、原田さんは狩猟業界に対して希望を持っている。

「正直、いまのところ商売として儲かるわけではありません。しかし若い世代をはじめとした多くの人に関わるきっかけを増やしていくことで、イノベーションが起こると考えています。柔軟で新しい発想を持った人材に、狩猟業界を盛り立てていってもらいたいですね」

イベント参加を終えて

狩猟は、肉食へのタブーがあった我が国の伝統と、トロフィーハンティング(アフリカなどへ行き、珍しい生き物を狩って剥製や革を持ち帰る)のような”殺すために殺す”狩猟のイメージが重なって、残酷、のひとことで片付けられがちだ。
狩猟をテーマにしたサイトが”炎上”することも度々話題になる。
そうした狩猟へのネガティブなイメージが獣害問題から、人々の目を背けさせ、問題を拡大させてきたと言えるだろう。
猟師だけでなく、農家も高齢化の問題をかかえている。電気柵などの対応はとられているものの、それだけでは獣害に対応しきれていないのが現状だ。野菜しか食べない、という人も実は間接的に狩猟の恩恵を預かっているのである。

生きることは生命と向き合うこと、そう考えさせてくれるイベントだった。

狩猟ビジネス学校・今後の予定

狩猟ビジネス学校は引き続き、千葉県君津市で毎月1年間行われる予定だ。
第2回の内容はイノシシの解体。募集は終了しているが、3回目以降からの参加も可能。
詳細は、君津市のWEBサイトおよび君津市狩猟ビジネス学校のフェイスブックページ、または狩猟工房のWEBサイトを確認ください。

君津市WEBサイト

https://www.city.kimitsu.lg.jp/soshiki/25/12744.html

狩猟ビジネス学校フェイスブックページ

https://www.facebook.com/%E5%90%9B%E6%B4%A5%E5%B8%82%E7%8B%A9%E7%8C%9F%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E5%AD%A6%E6%A0%A1-1234429113359747/

猟師工房WEBサイト

http://www.ryoshikobo.co.jp/

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