遺物や文化財のイラストを描くために、自治体や博物館からの許可は必要なのか?〜縄文ドキドキ総選挙の場合〜

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考古博物館へ行って、遺物の写真撮影、楽しいですよね。撮影自由な博物館もあれば、全て撮影禁止という博物館もあり、地域の教育委員会の方針など、所蔵先によって撮影に対する対応はまちまちです。

文化財を所有しているのは国なので、われわれ国民が自由に撮影できないのはおかしいのでは?とも感じますが、各自治体には管理や保存の義務があることも考えると、それぞれに事情があり、対応が分かれることも仕方のないことなのかもしれません。

ではイラストの場合は?

撮影はNGだけど、スケッチするのはOK、という博物館もあります。ということは、イラストやスケッチであれば個人の自由なのでしょうか?

まず、著作権に関していえば、遺物自体に著作権はありません。縄文時代の遺物に関していえば、数千年前に作者は亡くなっているわけですから、当然といえば当然です。しかし写真であれば、その撮影者に著作権が発生します。
遺物を模写したイラストやスケッチも、著作権は作者にあるので、当然作者の自由に使える・・・はずです。

今年2020年の10月に「縄文ドキドキ総選挙」という企画を行いましたが、博物館などから借りた写真を掲載するのではなく、全て遺物をイラストに起こしました。
あえてイラスト化した理由は、イラストであれば著作権を自分で主張することができますし、サイト内で自由に使え、博物館が所有している写真の使用許可といった煩雑な手続きを回避できると考えたからです。

しかし実際に博物館に連絡をとってみると・・・?

博物館などに特に何も連絡せずに進めてもよかったんですが、まあ「お祭り」ですし、所蔵先にも盛り上げに参加してもらいたいと考えたので各所蔵先に

”イラスト化して投票企画に使いますけど、別に構いませんよね?もし手続きとかあれば教えてくださーい!”

といった内容のメールを(ちゃんとした文体で)送りました。

どこの所蔵先も100%「もちろん、いいですよ!」という返事が即座に返ってくるだろうと、そう、考えていたのですが・・・

全くもって甘い考えでした。

半分以上の所有先で”許可”が必要だった

もちろん「自由に描いてくださって構いませんよ」という所蔵先もありましたが、半分以上の所蔵先から

「書面に捺印して、使用許可申請を行ってください」

という返答が返ってきました。
その中で申請内容のパターンがいくつかあったので挙げておきます。
(一応お断りしておきますが、これらの手続きに関して否定的な意見を述べる意図はありません)

1.画像使用許可が必要なパターン

これはそのまま「所蔵している画像の使用許可」をとってください、というもの。画像、借りても使わないんだけどなあ・・・と思いつつ、それでも他に対応方法が明文化されていないのでとってください、ということでした。

2.模写の許可が必要なパターン

この場合の「模写」は本や画像を模写するということでなく、博物館へ行き、館内で模写するためのもの。
こちらも実際の利用法とは異なりますが、形式上許可を申請して欲しい、と言われました。

3.有料のパターン

これは「画像の使用許可」を申請した上で、営利の場合は有料。このサイトは一応営利なので、書籍などに使用する場合の有料の許可が必要でした。

4.前例がないのでとりあえず書面で許可をとって欲しい、と言われるパターン

見出しでほぼ全部説明してしまいましたが「とりあえず連絡があった以上、書面で記録に残したいので許可書を送ってください」というもの。

じゃあ、遺物や文化財のイラストは勝手に描いちゃダメってこと?

上にも書いた通り、著作権のないものを模写したり、イラスト化すること自体が誰かの権利を犯す部分は一切ありません。
あくまで、所蔵先によって撮影や遺物の扱いの対応が分かれているために、形式上許可をとる必要があった、ということです。

許可を求めてくる所蔵先でも、趣味の範疇であれば特に何か言われることはないと思います。しかし、営利でイラスト化を考えている場合には連絡をとってみたほうが無難かもしれません。法律を犯している訳でない以上「無断イラスト化」が特に問題視されることもないとはずですが、その後のお付き合いも考える場合はご挨拶はしておいて損はないでしょう。

この記事がイラストレーターさんなど「文化財のイラストを描こうと思っているけど、許可って必要なの?」と疑問を抱えている方の参考になれば幸いです。


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